Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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めいじかいか あんごとりもの

明治開化 安吾捕物

坂口 安吾

Lesen Sie 明治開化 安吾捕物 (めいじかいか あんごとりもの) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.713 Zeichen · 54 Bildschirme

Aozora Bunko

「熟睡していらッしゃいます」

「御主人の今朝のお買上げ品を見たかい」

「いいえ」

女中には見せまい。川田は諸方をブラブラ歩いた。カギのかかっている部屋以外は遠慮なくのぞいて歩いた。庭へでて陳列室を見上げると、窓は全部閉じられていた。初夏にちかい陽気だというのに、真夏以外は概ねこうだ。窓をあけるとゼンソクにわるいという信条のせいにもよるのだが、空を吹く風には植物鉱物動物どもの雑な呼吸がこもっているから吸う人の胸壁をむしばむ悪作用があると信じて疑わぬオモムキがあった。

庭木戸をあけてヒョイとはいってきた人物がある。見るとオトメであった。川田を認めてオトメは呟いた。

「朝から気ぜわしくッて、心配で、ジッとしていられないのよ。今日、あの部屋で誰か死ぬ人があるわよ。オイノリして死神を落してさしあげなくちゃア」

陳列室を指してみせた。そして小走りに走った。川田が懐中時計を改めると、一時にちかい時刻だった。

「ノンビリと遊びすぎたぞ」

彼は一同に挨拶もせずに馬車にのッて銀行へ戻った。

★

月曜は日中いっぱい手の施しようがないほど習慣の行事が乱れてしまった。