Japanische Klassiker mit Furigana
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はるいくたび
春いくたび
山本 周五郎
Lesen Sie 春いくたび (はるいくたび) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 70.094 Zeichen · 142 Bildschirme
四
「ではこれで、お造作をかけました」
「失礼いたします」
そういう声がして、戸口があくと、ほんのりさしてくるほかげのなかを四人の武者が立去ってゆく、――兄の姿はみえない。若菜はすべるように戸口の前へ走りよると、いま、しめようとしているところへ、ひらりと身をひるがえしてとびこんだ。
「――誰だ!」
といって身をひいたのは兄であった。
四
若菜はうしろ手に引戸を閉めながら、
「わたくしです」
「……?」
「若菜です、お兄さま」
場所も場所、おまけにすっかり身なりが変っているので、すぐにはそれとわからなかったらしい、――しかしそこに立っているのが妹だと知ったとき、伝四郎は夢ではないかとうたがうように眼をみはった。
「おまえ、おまえ、若菜か」
「――お兄さま!」
「まて、どうしてこんなところへきた、なんのためにきたのだ」
「おわかりになりませんの?」
若菜はじっと兄の顔をみつめながら、そういってひと足まえに出た。
「わたくしお迎えにきたんです、これからすぐ若菜といっしょにお帰りくださいまし、大村へお帰りくださいまし、そして……裏切者だという汚名をそそいでくださいまし」
「だまれ! 兄に向かって裏切者とはなんだ」