Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅんせつ
春雪
久生 十蘭
Lesen Sie 春雪 (しゅんせつ) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.672 Zeichen · 23 Bildschirme
一
一
四月七日だというのに雪が降った。
同業、東洋陶器の小室幸成の二女が、二世のバイヤーと結婚してアメリカへ行くのだそうで、池田藤吉郎も招かれて式につらなった。式は三越の八階の教会で二十分ばかりですんだが、テート・ホテルで披露式があるというので、そっちへまわった。
会場からほど遠い、脇間の椅子に掛け、葉巻をくゆらしながら窓の外を見ると、赤い椿の花のうえに雪がつもり、冬には見られない面白い図になっている。そういえば、柚子が浸礼を受けた、あの年の四月七日も、霜柱の立つ寒い春だったなどと考えているところへ、伊沢陶園の伊沢忠が寸のつまったモーニングを着こみ、下っ腹を突きだしながらやってきた。
池田や小室とおなじく、伊沢もかつては航空機の機体の下受けをやり、戦中は、命がけで新造機に試乗したりして、はげまし合ってきた仲間だが、戦後、申しあわしたように瀬戸物屋になってしまった。
「いやはや、どうもご苦労さん」
「式には、見えなかったようだな」
「洋式の花嫁姿ってやつは、血圧に悪いんだ。ハラハラするんでねえ」
「それにしては、念のいった着付じゃないか」
「なァに、告別式の帰りなのさ。