Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しゅんせつ

春雪

久生 十蘭

Lesen Sie 春雪 (しゅんせつ) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.672 Zeichen · 23 Bildschirme

Aozora Bunko

「えらいことを、いいだしたもんだな」

「あたし、どんなに苦しんだかしれないの。お気に染まないでしょうけど、柚子、怖がらずに死ねるようにしていただきたいわ」

古神道と皇道主義の、狂信的な家庭に育った、柚子のむずかしい加減の立場と悩みは、池田にも、わからないわけはない。世俗的な叔父の立場にしたがえば、もちろん、反対しなければならないところだが、日本自体が無くなりかけているというのに、社家も神道もあるものではない。無宗教で死にたくないという、柚子の希望をかなえてやるほうが、ほんとうだと思った。

柚子が浸礼を受けることにしたのは、道灌山の崖下にある古ぼけた木造の教会で、約束の時間に先方へ行くと、西洋人の白髪の牧師が入口まで出てきて二人を迎えた。達者な日本語で、あなたは、どうぞここでと、池田をベンチへ掛けさせると、柚子を連れて奥のほうへ入って行った。

粗末なベンチが二列に並んだ正面に、低い壇があり、そのうしろが引扉で仕切られている。寒い朝で、堅い木のベンチに掛けていると、しんしんと腰から冷えがあがってきて、チリ毛に鳥肌が立った。

そのうちに、伝道婦らしいのが出てきて、気のないようすでオルガンを奏くと、その音にあわせて、正面の扉のうしろは二坪ほどのコンクリートの水槽になっていて、素膚に薄い白衣を着た牧師と柚子が、胸まで