Japanische Klassiker mit Furigana
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きのう・きょう・あす
昨日・今日・明日
織田 作之助
Lesen Sie 昨日・今日・明日 (きのう・きょう・あす) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.018 Zeichen · 24 Bildschirme
と、ミネ子は立ち停った。歌は「荒城の月」だった。
ミネ子のつきあいで聴いているうちに、赤井はふと、
「聴いたような声やな」
と、さすがに声の商売だけに、敏感だった。
「あッ、そうや。慰問で聴いた歌や」
そう判った途端、赤井は何思ったかミネ子の手をひっぱって、大阪の放送局のある馬場町の方へかけ出して行った。
丁度その頃、白崎もその放送を聴いていた。バラックにはもう、ラジオも電話もついていたのだ。父が声を掛けた。
「おい、第二放送に変えようか」
「いや、この方がいいですよ」
「歌はきらいだった筈だが……」
「あはは……」
他愛なく笑って、「荒城の月」を聴いていたが、急に、
「お父さん、今日の新聞は……?」
「お前の膝の上だ」
「あッ、そうか」
頭に手を当てて、膝の上を見て、ラジオ欄の「独唱と管弦楽、杉山節子、伴奏大阪放管」という所を見ると、
「杉山節子……? そうだ、たしかそんな名前だった。大阪放管? じゃ、大阪からの放送だ」
と、呟いていたが、やがてそわそわと起ち上って、電話を掛けに行った。
「……もしもし、放送局ですか。実は今放送しておられる杉山節子さんに急用なんですが、電話口へ呼んで下さいませんか」