Japanische Klassiker mit Furigana
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きのう・きょう・あす
昨日・今日・明日
織田 作之助
Lesen Sie 昨日・今日・明日 (きのう・きょう・あす) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.018 Zeichen · 24 Bildschirme
今日
「蓄音機は司令部へ行ったぜ」
と、若い当番兵が答えた。
「今、司令部から電話掛って来て、あわてて駈けつけて行きやがった。赤鬼みたいに酔っぱらっとったが、出て行く時は青鬼みたいに青うなっとったぜ。どうやら、日本は降伏するらしい。明日の正午に、重大放送があるということだ」
「えっ? 降伏……? 赤鬼が青鬼になった……? ふーん」
白崎は思わず唸ったが、やがて昂奮が静まって来ると、がっくりしたように、
「俺はいつも何々しようとした途端に、必ず際どい所で故障がはいるんだ」
と、呟いた。
今日
復員列車といおうか、買い出し列車といおうか、汽車は震災当時の避難列車を思わせるような混み方であった。
一本の足を一寸動かすだけでも、一日の配給量の半分のカロリーが消耗されるくらいの努力が要り、便所へも行けず、窓以外には出入口はないのも同然であった。
その位混むと、乗客は次第に人間らしい感覚を失って、自然動物的な感覚になって、浅ましくわめき散らすのだったが、わずかに人間的な感覚といえば、何となくみじめな想いと、そして突如として肚の底からこみ上げて来る得体の知れない何ものかに対する得体の知れぬ怒りであろうか。