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Japanische Klassiker mit Furigana

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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(一)

岡本 綺堂

Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(一) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 47.663 Zeichen · 97 Bildschirme

Aozora Bunko

詮議の蔓はもう切れた。

今度は松村の発議で、忌がるお道を無理にこの屋敷へ呼び戻して、お春と一緒にいつもの部屋に寝かすことにした。松村と小幡とは次の間に隠れて夜の更けるのを待っていた。

その晩は月の陰った暖かい夜であった。神経の興奮し切っているお道は、とても安らかに眠られそうもなかったが、なんにも知らない幼い娘はやがてすやすやと寝ついたかと思うと、忽ち針で眼球でも突かれたようにけたたましい悲鳴をあげた。そうして「ふみが来た、ふみが来た」と、低い声で唸った。

「そら、来た」

待ち構えていた二人の侍は押っ取り刀でやにわに襖をあけた。閉め込んだ部屋のなかには春の夜のなまあたたかい空気が重く沈んで、陰ったような行燈の灯はまたたきもせずに母子の枕もとを見つめていた。外からは風さえ流れ込んだ気配が見えなかった。お道はわが子を犇と抱きしめて、枕に顔を押しつけていた。

現在にこの生きた証拠を見せつけられて、松村も小幡も顔を見合わせた。それにしても自分たちの眼にも見えない闖入者の名を、幼いお春がどうして知っているのであろう。それが第一の疑問であった。小幡はお春をすかしていろいろに問いただしたが、年弱の三つでは碌々に口もまわらないので、ちっとも要領を得なかった。