Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(一)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(一) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 47.663 Zeichen · 97 Bildschirme
二
箱は能楽の仮面を入れるようなもので、底から薄黒い平打ちの紐をくぐらせて、蓋の上で十文字に固く結んであった。幾分の好奇心も手伝って、熊蔵は急いでその一つの箱の紐を解いた。
蓋をあけても中身はすぐに判らなかった。中にしまってある品は、魚の皮とも油紙とも性の得知れない薄黄色いものに固く包まれていた。
「べらぼうに厳重だな」
包みを解いて熊蔵は思わずあっと叫んだ。ふたりの眼の前に現われたものは人間の首であった。併しそれは幾千百年を経過したか容易に想像することを許さないほどに枯れ切った古い首で、皮膚の色は腐った木の葉のように黒く黄ばんでいた。半七や熊蔵の眼には、それが男か女かすらも殆ど判断が付かなかった。
二人は息を嚥んで、この奇怪な首をしばらく見つめていた。
二
「親分。こりゃあ何でしょう」
「判らねえ。なにしろ、そっちの箱を明けてみろ」
熊蔵は無気味そうに第二の箱をあけると、その中からも油紙のようなものに鄭重に包まれた一個の首が転げ出した。併しそれは人間の首でなかった。短い角と大きい口と牙とをもっていて、龍とも蛇とも判断が付かないような一種奇怪な動物の頭であった。