Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(一)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(一) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 47.663 Zeichen · 97 Bildschirme
三
あのお武士衆は一体どこのお屋敷だえ。西国の衆らしいね」
「そんな話でございますよ」と、お吉はあいまいな返事をしていた。
「それからおめえ気の毒だが、そのうちに番屋へちょいと来てもらうかも知れねえから、そのつもりでいてくんねえよ」
嚇すように云われて、お吉はまたおびえた。
「親分。なんの御用でございます」
「あの二人の武士に就いてのことだが、それとも番屋まで足を運ばねえで、ここで何もかも云ってくれるかえ」
お吉はからだを固くして黙っていた。
「え、あの二人の商売はなんだえ。いくら勤番者だって、暮も正月も毎日毎日湯屋の二階にばかり転がっている訳のものじゃあねえ。何かほかに商売があるんだろう。なに、知らねえことはねえ。おめえはきっと知っている筈だ。正直に云ってくんねえか。一体あの戸棚にあずかってある箱はなんだえ」
紅い顔を水色に染めかえて、お吉はおどおどしていた。
三
こんな商売をしていながら、割合に人摺れのしていないお吉は、半七に嚇されてもう息も出ないくらい顫え上がっていた。しかし彼の武士たちの身許はどうしても知らないと云った。なんでも麻布辺にお屋敷があるということだけは聞いているが、そのほかにはなんにも知らないと強情を張っていた。