Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(一)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(一) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 47.663 Zeichen · 97 Bildschirme
半七もこの近所で生まれたので、子供の時から彼を識っていた。
「清さん、どこへ……」
声をかけられて清次郎は黙って会釈した。若い番頭の顔色はきょうの冬空よりも陰っているのがいよいよ半七の眼についた。
「かぜでも引きなすったかえ、顔色がひどく悪いようだが……」
「いえ、なに、別に」
云おうか云うまいか清次郎の心は迷っているらしかったが、やがて近寄って来てささやくように云った。
「実はお菊さんのゆくえが知れないので……」
「お菊さんが……。一体どうしたんです」
「きのうのお午すぎに仲働きのお竹どんを連れて、浅草の観音様へお詣りに行ったんですが、途中でお菊さんにはぐれてしまって、お竹どんだけがぼんやり帰って来たんです」
「きのうの午過ぎ……」と、半七も顔をしかめた。「そうして、きょうまで姿を見せないんですね。おふくろさんもさぞ心配していなさるだろう。まるで心当りはないんですかえ。そいつはちっと変だね」
菊村の店でも無論手分けをして、ゆうべから今朝まで心当りを隈なく詮索しているが、ちっとも手がかりがないと清次郎は云った。彼はゆうべ碌々に睡らなかったらしく、紅くうるんだ眼の奥に疲れた瞳ばかりが鋭く光っていた。