Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(一)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(一) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 47.663 Zeichen · 97 Bildschirme
二
「そりゃあ変だね」
「変ですとも。……そうして、それきり又見えなくなってしまったんですもの」
「帰って来たのを誰も知らなかったのかね」
「いいえ、わたしも知っていますし、おかみさんも確かに見たんですけれども、それが又いつの間にか……」
聴く人よりも話す人の方が、いかにも腑に落ちないような顔をしていた。
二
「きのうの夕方、石町の暮れ六ツが丁度きこえる頃でしたろう」と、お竹はなにか怖い物でも見たように声をひそめて話した。「この格子ががらりと明いたと思うと、お菊さんが黙って、すうっとはいって来たんですよ。ほかの女中達はみんな台所でお夜食の支度をしている最中でしたから、そこにいたのはわたしだけでした。わたしが『お菊さん』と思わず声をかけると、お菊さんはこっちをちょいと振り向いたばかりで、奥の居間の方へずんずん行ってしまいました。そのうちに奥で『おや、お菊かえ』というおかみさんの声がしたかと思うと、おかみさんが奥から出て来て『お菊はそこらに居ないか』と訊くんでしょう。わたしが『いいえ、存じません』と云うと、おかみさんは変な顔をして『だって、今そこへ来たじゃあないか。