Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(一)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(一) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 47.663 Zeichen · 97 Bildschirme
金次はこのごろ小博奕などを打ち覚えて、ぶらぶら遊んでいる男で、半七とはまんざら識らない顔でもなかった。
「やあ、神田の大哥ですか。お珍らしゅうございますね。まあお上がんなさい」
相手がただの人と違うので、金次は愛想よく半七を招じ入れて長火鉢の前に坐らせた。そうして、時候の挨拶などをしている間にも、なんとなく落ち着かない彼の素振りが半七の眼にはありありと読まれた。
「おい、金次。俺あ初めにおめえにあやまって置くことがあるんだ」
「なんですね、大哥。改まってそんなことを……」
「いや、そうでねえ。いくら俺が御用を勤める身の上でも、ひとの家へ留守に上がり込んで、奥を覗いたのは悪かった。どうかまあ、堪忍してくんねえ」
火鉢に炭をついでいた金次はたちまち顔色を変えて、唖のように黙ってしまった。彼の手に持っている火箸は、かちかちと鳴るほどにふるえた。
「あの黄八丈は小柳のかい。いくら芸人でもひどく派手な柄を着るじゃあねえか。尤もおめえのような若い亭主をもっていちゃあ、女はよっぽど若作りにしにゃあなるめえが……。ははははは。おい、金次、なぜ黙っているんだ。愛嬌のねえ野郎だな。