Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(一)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(一) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 47.663 Zeichen · 97 Bildschirme
苔に残っている爪先がどうしても女の足らしい。と云って、大抵の女があの高塀を無雑作に昇り降りすることが出来るもんじゃあない。よほど身体の軽い奴でなけりゃあならないと思っているうちに、ふいと軽業師ということを思い付いたんです。女の軽業師は江戸にもたくさんありません。そのなかでも両国の小屋に出ている春風小柳という奴はふだんから評判のよくない女で、自分よりも年の若い男に入れ揚げているということを聞いていましたから、多分こいつだろうとだんだん手繰って行くと、案外に早く埒が明いてしまったんです。金次という奴は伊豆の島へやられたんですが、その後なんでも赦に逢って無事に帰って来たという噂を聞きました。
菊村の店では番頭の清次郎を娘の聟にして、相変らず商売をしていましたが、いくら老舗でも一旦ケチが付くとどうもいけないものと見えて、それから後は商売も思わしくないようで、江戸の末に芝の方へ引っ越してしまいましたが、今はどうなったか知りません。
どっちにしても助からない人間じゃあありますけれども、小柳を大川へ飛び込ましたのは残念でしたよ。つまりこっちの油断ですね。つかまえるまでは気が張っていますけれども、もう捕まえてしまうと誰でも気がゆるむものですから、油断して縄抜けなんぞを食うことが時々あります。