Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(二)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(二) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.865 Zeichen · 432 Bildschirme
女房に笑われて、庄太は頭をかいていた。
二
「どうも暑いな」
「ことしは残暑が強うござんすね。これで九月に袷が着られるでしょうか」
「ちげえねえ。九月に帷子を着てふるえているか」
二人は笑いながら浅草の仲見世の方へ来かかると、そこらの店から大勢の人がばらばら駈け出した。往来の人達も何かわやわや云いながら駈け出して行った。餌を拾っている鳩もおどろいて飛び起った。
「なんだろう」と、半七は境内の方を見た。
「みんなお堂の方へ駈けて行くようですね。喧嘩か巾着切りでしょう」
「そんなことかも知れねえ。江戸は相変らず物見高けえな」
さのみ気にも留めないで、二人はやはりぶらぶらあるいてゆくと、駈けあつまる人の群れはだんだん多くなった。それに誘われて、二人もおのずと早足に仁王門をくぐると、観音堂前の大きい銀杏の木に一人の男が縛りつけられていた。男は二十三四で、どこかの武家屋敷の中間らしく、帯のうしろには木刀をさしていたが、両腕を荒縄で固く縛られて、両足を投げ出して、銀杏の木の根につながれていた。そのまえには一羽の白い鶏をかかえた男が立っていた。ほかにも七、八人の男がその中間を取りまいて、何か大きい声で罵っているらしかった。