Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(二)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(二) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.865 Zeichen · 432 Bildschirme
「ねえ、棟梁。どうかしようはないもんでしょうかね。お安さんの祟りで、津の国屋さんは今に潰れるかも知れませんよ」
「どうも困ったもんだ」
出入り場の禍いをむなしく眺めているのは、いかにも不人情のようではあるが、問題が問題であるだけに、差し当りどうすることも出来ないと、兼吉も顔をしかめながら云った。彼は文字春にむかって、いっそお前が津の国屋へ行って、お安の幽霊と道連れになったことを正直に話したらどうだと勧めたが、文字春は身ぶるいをして頭をふった。そんなことを迂濶に口走って、自分がどんな祟りを受けるかも知れないと、彼女はひたすら恐れていた。
こんなわけで、文字春は津の国屋の運命を危ぶむばかりでなく、自分の身の上までが不安でならなかった。彼女は毎日稽古に通ってくるお雪を見るのさえ薄気味悪くて、いつも其のうしろにはお安の亡霊が影のように付きまとっているのではないかと恐れられてならなかった。そのうちにこんな噂が又もや町内の女湯から伝わった。
津の国屋の女中でお松という、ことし二十歳の女が、夜の四ツ(十時)少し前に湯屋から帰ってくると、薄暗い横町から若い女がまぼろしのように現われて、すれ違いながらお松に声をかけた。