Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(二)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(二) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.865 Zeichen · 432 Bildschirme
かれは盗人で、賽銭をぬすみ、仏具をぬすみ、あまつさえ仏前の供物まで盗み啖ったので、たちまちその罰を蒙って供物が毒に変じたのであろうと、諸人は判断した。かれらは今更のように弁財天の霊験あらたかなるに驚嘆して、信心いよいよ胆に銘じた。その噂がまた世間にひろまって、信者は以前に幾倍するようになった。諸方からの寄進も多分にあつまって、弁天堂は再び改築されたので、狭い露路の奥にありながらも、その赫灼たる燈明のひかりは往来からも拝まれて、まことに光明弁天の名にそむかないように尊く見られた。
その善昌が今年の三月、弁財天のお告げであると称して、一種の予言めいたことを信者たちに云い聞かせた。今年はおそるべき厄年であって、井伊大老の死ぐらいは愚かなことであり、五年前の大地震、四年前の大風雨、二年前の大コロリ、それにも増したる大きいわざわいが江戸中に襲いかかって来るに相違ない。但しそれには必ず何かの前兆があるから、いずれも用心を怠ってはならぬというのであった。付近の信者はみなそれを信じた。大地震、大風雨、大コロリ、黒船騒ぎ、大老邀撃、それからそれへと変災椿事が打ちつづいて、人の心が落ち着かないところへ、又もやこの恐ろしい御託宣を聴かされたのであるから、かれらの胸に動悸の高まるのも無理はなかった。