Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(二)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(二) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.865 Zeichen · 432 Bildschirme
しかしいつの場合でも、被害者の所持品を取ったという噂はなく、単に突いて逃げるばかりで、つまり一種の辻斬りのたぐいである。なまじいに人の物に眼をかけないだけに、その手がかりを見つけ出すのが困難で、所詮はその場で召捕るよりほかには、下手人を見いだす方法がなかった。
文化の時と文政のときと、それが同じ下手人であるかどうかは判らなかった。それが一人であるか、五人六人が党を組んでいるのか、あるいはその噂を聞き伝えて面白半分に真似るものが幾人も出来たのか、そんなことも一切判らなかった。一体なんの為にそんな残酷なことをするのか、それも確かな判断が付かなかった。やはり在来の辻斬りと同じように持ち槍の穂の冴えをためすのと、自分の腕の働きを試すのと、この二つであろうとは誰でも思い付くことであるので、江戸じゅうの槍術指南者やその門人たちが真っ先に眼をつけられたが、その方面では取り留めた手がかりもなかった。さりとて、それが普通の物取りでないことは判っているので、どうも其の理由を発見するのに苦しめられた。なにかの心願があって、千人の人間を突くのだという説もあった。又は戌年の人に限って突くのだという説もあったが、かの延寿太夫は酉年の生まれで戌年ではなかった。