Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(二)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(二) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.865 Zeichen · 432 Bildschirme
「兄さん。この頃は忙がしいんですか」
「むむ、たいしてむずかしい御用もねえが、広徳寺前にちょっとしたことがあるから、これからそっちへ行って見ようかと思っている」
「広徳寺前……。舐め筆の娘じゃないの」
「おまえ知っているのか」
「あの娘は姉妹とも三味線堀のそばにいる文字春さんという人のところへお稽古に行っていたんです。妹はまだ行っているかも知れません。その姉さんの方が頓死したというんで、あたしもびっくりしました。毒を飲んだというのはほんとうですか」
「そりゃあほんとうだが、自分で飲んだのか、人に飲まされたのか、そこのところがまだはっきりとおれの腑に落ちねえ。おまえ、その文字春という師匠を識っているなら、そこへ行って妹のことを少し訊いて来てくれねえか。妹はどんな女だか、なにか情夫でもあるらしい様子はねえか、東山堂の親達はどんな人間か、そんなことを判るだけ調べて来てくれ」
「よござんす。お午過ぎに行って訊いて来ましょう」
「如才もあるめえが、半七の妹だ。うまくやってくれ」
「ほほほほほ。あたしは商売違いですもの」
「そこを頼むんだ。うまく行ったら鰻ぐらい買うよ」
妹に頼んで半七はそこを出ると、どこの店でももう日よけをおろして、残暑の強い朝の日は蕎麦屋の店さきに干してあるたくさんの蒸籠をあかあかと照らしていた。