Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(五)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(五) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.744 Zeichen · 434 Bildschirme
その木の下には細い溝川が流れていた。
「早速だが、魚八じゃあ河豚太鼓をこしらえているか」
「拵えています」と、弥助は答えた。「商売が閑なものだから、せがれの佐吉は片商売に叩いて歩いているそうです」
「ともかくも魚八へ行ってみよう」
「魚八には誰もいませんよ。親父も伜も出払って、店にいるのは女房ばかりです」
「女房はどんな女だ」
「お政という四十五六の女で、見たところは悪気のなさそうな人間です。親父も伜も近所の評判は悪くないようです」
そんなことを話しながら、二人は流れに沿うて小半町ほども歩いて行くと、その流れを前にして三、四軒の小あきんど店がならんでいた。その二軒目が魚八で、さびれながらも相当に広い店さきには竹の簀子のようなものをならべて、河豚の皮が寒そうにさらしてあった。店には誰もいないので、弥助は奥をのぞきながら声をかけた。
「もし、誰かいねえかね」
「はい、はい」
よごれた鯉口を着た四十五六の女が奥から出て来たので、半七はずっとはいって直ぐに話しかけた。
「お前さんはここのおかみさんですね。わたしは明神下の菊園へ出入りの者で、番頭さんから頼まれて来たのだが、けさも店の方から使が来たでしょう」