Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(五)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(五) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.744 Zeichen · 434 Bildschirme
それでは取り付く島がない。自分の方から頼んで置きながら何のことだと、半七は肚のうちで舌打ちしたが、武家屋敷の仕事は大抵こんなものだと覚悟しているので、小梅の長五郎から聞き出した一種の秘密を唯一の材料にして、ひそかに探索を進めて行くのほかは無かった。
こんなわけで、とかくに仕事が捗取らず、半七らを苛々させていると、それから十日ばかりの間に、二つの事件が出来して、更に彼等を苛立たせた。その一つは二月二十三日の朝、かの深川の寅吉という船頭が何者にか殺害されたことである。浄心寺のうしろは山本町で、その山本町から三好町の材木置場へ通うところに小さな橋がある。寅吉の死骸はその橋の下に浮かんでいたが、右の肩先からうしろ袈裟に斬られているのを見ると、その相手は恐らく武士で、うしろから一刀に斬り倒して、死骸を河へ投げ落としたのであろうと察せられた。
検視の上、このごろ流行る辻斬りの仕業であろうということになったが、辻斬りをする者がその死骸をわざわざ河のなかへ投げ込んでゆく筈がない。幸次郎の報告によって、その下手人が誰であるかを半七は大かた推量していた。寅吉の出入りを尾けていた幸次郎は、彼が何処をどう歩いて、何者に斬られたかを窃かに見とどけたのであった。