Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(五)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(五) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.744 Zeichen · 434 Bildschirme
その水道端、こんにちの二丁目に日輪寺という曹洞宗の寺があります。その本堂の左手から登ってゆくと、うしろの山に氷川明神の社がありました。むかしは日輪寺も氷川神社も一緒でありましたが、明治の初年に神仏混淆を禁じられたので、氷川神社は服部坂の小日向神社に合祀されることになって、社殿のあとは暫く空地のままに残っていましたが、今では立ち木を伐り払って東京府の用地になっているようです。
そういうわけで、今日そこに明神の社はありませんが、江戸時代には立派な社殿があって、江戸名所図会にもその図が出ています。ところが、その明神の山に一種の伝説があって、そこには『かむろ蛇』という怪物が棲んでいるという。それに就いてはいろいろの説がありまして、胴の青い、頭の黒い蛇、それが昔の子どもの切禿に似ているのでかむろ蛇と云うのだと、見て来たように講釈する者もあります。また一説によると、天気の曇った暗い日には、森のあたりに切禿の可愛らしい女の児が遊んでいる。その禿は蛇の化身で、それを見たものは三日のうちに死ぬという。勿論めったに出逢った者も無いんですが、安永年間、水道端の荒木坂に店を開いている呉服屋渡世、松本屋忠左衛門のせがれは、二、三日煩い付いて急に死んだ。