Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(五)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(五) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.744 Zeichen · 434 Bildschirme
関口屋でも本当にそれを信じていたわけでも無かったが、ともかくもこの時節だから、いいと云うことは真似るがいいと思って、自分の庭に大きい八つ手の木があるのを幸いに、その葉を折って店の軒さきに吊しておいた。
翌日の午後、お琴が店へ出てみると、軒の八つ手の大きい葉がもう枯れかかって、秋風にがさがさと鳴っていた。枯れてしまっては呪いの効目もあるまいと思ったので、お琴は庭から新らしい葉を折って来て、人に頼むまでもなく、自分がその葉を吊り換えようとする時、ふと見ると古い枯葉には虫の蝕ったような跡があった。更によく見ると、その虫蝕いの跡は仮名文字の走り書きのように読まれた。おそでしぬ――こう読まれたのである。お袖死ぬ――お琴はぎょっとした。
彼女はお由をそっと呼んで、八つ手の古い葉を見せると、お由もその虫蝕いのような仮名文字を「おそでしぬ」と読んだ。八つ手に虫の付くことは少ない。しかもその枯れかかった葉のおもてに、「お袖死ぬ」という虫のあとを残したのである。
きのうの今日であるから、お琴は総身の血が一度に凍ったように感じた。
二
関口屋の裏には四軒の貸長屋があった。