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Japanische Klassiker mit Furigana

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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(五)

岡本 綺堂

Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(五) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.744 Zeichen · 434 Bildschirme

Aozora Bunko

生け垣の杉も枯れていた。

裏口へ廻って木戸を押すと、錠も卸されていないと見えて、すぐに明いた。成程そこらは一面の草叢であったが、注意して見ると、その草のあいだには人の踏んだ跡がある。この化け物屋敷には幽霊のほかに出入りする者があるらしいと、半七は肚のなかで笑った。閾のきしむ雨戸をこじ明けて、水口から踏み込むと、半七は先ず第一の獲物を発見した。それは野暮な赤い櫛で、土間に落ちていた。

それを拾って袂に入れて、半七は台所にあがった。家内はもう薄暗いので、雨戸を明け払って更に引き窓をあけた。久しく掃除をしないので、板の間は一面のほこりに埋められている。そのほこりに幾つもの足跡が乱れて残っているのを透かして視ると、それは男と女の足跡であるらしかった。何者かが忍んでいるかも知れないと、用心しながら奥へ入り込んだが、ただ一度、大きい鼠に驚かされただけで、鎮まり返った空家のうちには人の気配もなかった。

奥には茶の間らしい六畳の間がある。つづいて八畳の座敷である。茶の間へはいって、押入れの破れ襖をあけると、押入れのなかも埃だらけになっていたが、下の板の間には隅々だけを残して、他に埃のあとが見えない。