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Japanische Klassiker mit Furigana

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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(五)

岡本 綺堂

Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(五) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.744 Zeichen · 434 Bildschirme

Aozora Bunko

「そりゃあ油断が出来ねえ」

四

半七と庄太は見えがくれに、かの二人のあとを慕ってゆくと、二人は権田原の方へむかった。風が寒いせいでもあろう、二人は黙って俯向いて歩いていた。藤助は提灯を持っていた。米屋商売であるから下総屋としるした提灯を持つべきであるのに、今夜の藤助は無じるしの提灯を持っている。それが半七の注意をひいて、彼は庄太に何事をかささやくと、庄太はうなずいた。

「成程、こりゃあいよいよ油断が出来ねえ」

その頃の権田原は広い野原で、まだ枯れ切らない冬草が、武蔵野の名残りをとどめたように生い茂って、そのあいだには細い溝川が流れていた。月は無いが、空は高く晴れた宵で、無数の星が青白く光っていた。時々に吹きおろして来る寒い風におどろかされて、広い原一面の草や芒が波を打つようにざあざあと鳴った。それが足音をぬすむには都合がいいので、半七と庄太は相当の距離を取って二人のあとに続いた。

原のまん中には何百年の歴史を知っているような大きい榛の木が突っ立っている。それは夜目にも窺われるので、為吉と藤助はその大樹を目あてに細い道を急いで行くらしかったが、やがてそれも眼の前に近づいた時に、忽ちに帛を裂くような女の悲鳴がきこえた。