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Japanische Klassiker mit Furigana

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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(五)

岡本 綺堂

Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(五) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.744 Zeichen · 434 Bildschirme

Aozora Bunko

いたずらに苛々するばかりで、半七も手の着けようが無かった。この春ごろは折々に姿をあらわして、昔の知りびとをゆすり歩いていたが、かの才兵衛の一件以来、伝蔵の消息はまったく絶えてしまった。或いは才兵衛のふところから相当のまとまった金をうばって、それを路用に高飛びをしたのでは無いかとも思われた。

七月九日、きょうは浅草観音の四万六千日である。苦しい時の神頼みと云ったような心持もまじって、半七は朝から参詣の支度をした。

「おい、お仙、すこし小遣いを出してくれ」

「あいよ」

女房のお仙は用箪笥のひき出しから、一歩銀に一朱銀を取りまぜて掴んで来た。

「このくらいでいいかえ」

「むむ。よかろう。お台場が大分まじっているな」

「お台場は性が悪いと云うから、なるたけ取らない事にしているのだけれど……」

「おれ達の家の金は、きょう有って明日ねえのだ。性が良くっても悪くっても構うものか」

半七は笑いながら一朱銀を受け取って、今更のように手の上で眺めた。改めて註するまでもなく、異国の黒船防禦のために、幕府では去年の九月から品川沖にお台場を築くことになった。空前の大工事であるから、その費用もおびただしい。