Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(五)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(五) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.744 Zeichen · 434 Bildschirme
それを野良犬どもが咬み散らして、川のなかへでも転がし込んだのでしょう。しかしその当時は豹に啖い殺されたという評判でした」
「観世物の豹は本当に逃げたんですか」
「逃げたというのは例の噂で、上州から野州の方を持ち廻っていたのだそうです。しかし、米吉の死んだのは本当です」
「そうすると、詮議の種も尽きたわけですな」と、わたしも失望したように云った。
「まあ、そういうことになります。良住という奴は髪切り一件に関係が無いとすれば、あとは鮎川と増田ですが、この二人はいずれも行方不明、お房も同様、残る米吉は豹に啖われたと云うようなわけですから、関係者は種切れです。そこで、屯所側の鑑定では、この事件のうしろには大名屋敷の黒幕が付いていて、鮎川らを操って歩兵隊にケチを付ける計画だろうと云うのでした。幕府反対の大名たちが……と云っても主人が知ったことじゃあありますまいが、その家来たちがいろいろの策動をして、幕府困らせをやる。今度の一件も薩州屋敷あたりの者が内々で運動費を使って、こんな悪戯をして、幕府の歩兵の信用を墜させようと企てたのであろうと云うのです。今から考えると、子供のような悪戯とも思われますが、その時代にはこんな悪戯もなかなか有効であったのですから、誰かが考え付いたのかも知れません。