Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(六)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(六) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.831 Zeichen · 396 Bildschirme
八丁堀の人たちが幾ら閑だからといって、根も葉もないことに騒ぎ立てるはずもあるまいと、お勝の母は夫に叱られながらも、内心はそれを信じていた。
その矢さきに、お勝が現在その白い蝶の飛ぶ姿を見たと云うのであるから、母はいよいよそれを信じないわけには行かなくなった。
「それですから当分は夜歩きをしない方がいいと、お母さまは云っているのですよ」と、お勝はさらに付け加えた。
二
門前の掃除を仕舞ってお北はわが家へはいったが、今のお勝の話がなんとなく気にかかって、彼女は暗い心持になった。
お勝の父がいかにそれを否認しても、白い蝶の怪異はまんざら跡方のないことでも無いように思われた。
ことに妹のお年がゆうべの夢にうなされて、姉が白い蝶に化して飛び去ろうとしたと云う話が、また今更のように思い合わされて、お北は一種の恐怖を感じないわけには行かなかった。白い蝶と自分とのあいだに、何かの因縁が結び付けられているのではないかとも恐れられた。しかもそれを母や弟に打ちあけるのを憚って、彼女はやはり黙って朝飯の膳にむかった。
「お前はゆうべからどうも顔の色が悪いようだが、まったく風邪でも引いたのじゃあないか」