Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(六)

岡本 綺堂

Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(六) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.831 Zeichen · 396 Bildschirme

Aozora Bunko

むやみに其処らへ捨てて行くわけにも行かず、当座の思案で小判五枚を面の箱へ押し込みました。こうして置けば、夜叉神の功力で何とか元へかえる術もあろうかと思ったからでございます。一旦かぶった面は、自分が一生の戒めにするつもりで、袂に入れて帰りました」

このときの教重は確かに懺悔滅罪の人であった。小判と共に二朱銀も戻した積りであったが、寺へ帰ってみると、五個の銀が袂に残っていた。彼は慌ててそれだけを持ち帰ったのである。飛んだ事をしたと悔んだが、今さら引っ返すわけにも行かないので、彼は素知らぬ顔をして朝飯を食って、ほかの役僧らと共に長谷寺へ参列した。

兜の一件は、世間にこそ秘していたが、寺中にはもう知れ渡っていたので、その噂を聴くたびに教重はひやひやした。慈悲柔和な観音の尊像も、きょうは自分を睨んでおわすかのように思われて、彼が読経の声はみだれ勝ちであった。それに付けても、心にかかるのは彼の二朱銀五個の始末である。小判だけを戻したのでは罪は消えない。小判でも二朱銀でも一文銭でも、仏の眼から観れば同様で、たとい二朱銀一個でも、それを着服している以上、自分の罪は永劫に消えないのである。