Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(六)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(六) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.831 Zeichen · 396 Bildschirme
わたくしは昔の肉付き面を思い出して、俄かにぞっとしました。嫁を嚇かしてさえも、面が離れない例もある。まして仏前の奉納物を毀して金銀を奪い取っては、神仏の咎めも恐ろしい。あるいは夜叉神のお怒りで、この鬼の面がとれなくなるのでは無いかと思うと、わたくしはいよいよ総身にひや汗が流れました」
腹からの悪僧でもない彼は、その当時の恐怖を思い泛かべたように声をふるわせた。
「多寡が胡粉を塗った張子の面ですから、力まかせに引きめくれば造作もなしに取れそうなものですが、それがわたくしには出来ませんでした。そこで夜叉神の前に頭をさげて、わたくしは心から懺悔をいたしました。そして、盗んだ金銀を元のところへ戻しに参ろうと存じまして、暫く祈念いたして居りますと、不思議にその面が取れました。やれ有難やと喜んで、再び奉納小屋の方へ引っ返そうと致しますと、この頃は夜の明けるのが早くなったのと、開帳中は特に早起きをいたしますので、寺中ではもう雨戸を繰るような音がきこえます。わたくしは急に気おくれがして、もし見付けられたら大変だと思いまして、小屋へは引っ返すのをやめましたが、袂の金の始末に困りました。