Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(六)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(六) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.831 Zeichen · 396 Bildschirme
と、理右衛門は相手の顔をながめながら訊いた。
吉五郎が唯の人間でないことを知っているだけに、彼は幾分の好奇心をそそのかされたらしくも見えた。
「いえ、別に用というほどの事でもございませんが……」と、吉五郎はあいまいに答えた。「先日あのお屋敷の前を通りましたら、吉田さんの御子息をお見かけ申しましたので……」
「次男の方だろう。あれは御賄組の黒沼という家へ急養子に行ったそうだから……」
「わたくしもそんなお噂を伺いました。いや、どうもお急ぎのところをお引き留め申しまして相済みませんでした。では、これで御免ください」
ふたたび丁寧に会釈して立ち去る吉五郎のうしろ姿を、理右衛門は不審そうに見送っていた。往来なかで人を呼びとめて、単にそれだけのことを訊いて行くのは少しくおかしいと思ったからであろう。しかも吉五郎に取っては、吉田の家と佐藤の屋敷との関係を聞き出しただけでも、一つの手がかりであった。佐藤の屋敷の前で吉田の伜のすがたを見たなどと云うのは、もとより当座の出たらめに過ぎないのである。
吉田と佐藤とが親戚の間柄である以上、吉田の次男幸之助がその屋敷へ出入りするに不思議はない。