Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(四)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(四) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 217.272 Zeichen · 434 Bildschirme
三
「おい、何か出たぜ」
ふたりは小声でたがいに注意した。
なにぶんにも草が深いので、今だしぬけにあらわれて来た獣の正体を、星明かりぐらいではとてもはっきりと見定めることは出来なかったが、それは何だか狐の大きいようなものであるらしかった。その動作は非常に活溌で、ふたりに向ってまっしぐらに飛びかかって来たので、喜平も茂八も狼狽した。
ふたりは手に武器を持っていたが、鑿や小刀のような小さい刃物では、足もとへ低く飛び込んで来る敵を撃ちはらうには甚だ不便であった。殊に相手の正体がわからないので、ふたりは一種の恐怖に襲われて、茂八はふだんの力自慢にも似あわずに、まず引っ返して逃げ出した。その臆病風に誘われて、喜平もつづいて逃げた。堤をころげ降りて往来へ出ると、敵はそこまでは追って来ないらしいので、ふたりは立ちどまって顔をみあわせた。
「狐だろうか」と、茂八はあとを見かえりながら一と息ついた。
「狐にしちゃあ大き過ぎるようだ」と、喜平は首をひねった。
「それじゃあ鼬かしら」
「それとも河岸の方から河獺でもまぎれ込んで来たんじゃないかな」
狐か鼬か河獺か。ふたりは往来に立ってその評定にしばらく時を移したが、なにぶんにも暗い中の出来事で相手のすがたを見とどけていないのであるから、いつまで論じあっていても決着のつく筈がなかっ