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Japanische Klassiker mit Furigana

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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(四)

岡本 綺堂

Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(四) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 217.272 Zeichen · 434 Bildschirme

Aozora Bunko

それに味を占めて、かれは今夜も宵から釣道具を持ち出して行ったのである。ゆうべの鯉は盥に入れたままで台所の揚げ板の下に隠してある。それを知っているらしい彼の女は、いったい何者であろうかと、お徳は不安に思った。

女の話がほんとうであるとすれば、鯉がその夢に入って救いを求めたものであろう。もし又それが嘘であるとすれば、夫が殺生禁断を犯しているのを知って、ひそかにその様子を探りに来たのかも知れない。どちらにしても薄気味のわるい女客を、お徳はどうあしらってよいか判らなかったが、この女が入り込むと同時に、今までおとなしかった台所の鯉が俄かにたびたび跳ねあがるのも不思議であるばかりか、女の顔に愁いを帯び、女の声に恨みを含んでいるらしいのが、お徳をいよいよ恐れさせた。あるいはその夢ばなしは作り事で、この女はかのむらさき鯉に何かの因縁のあるものではあるまいかという疑いも湧き出して、かれは更に薄暗い行灯の灯かげで女の姿をよく視ると、女の髪は水を出て来たように湿れていた。今は雨も止んでいるのに、かれはどうして湿れて来たのかと、お徳のうたがいは一層強くなった。この女は水から出て来たのではあるまいかと思うと、気の強い女房も俄かにぞっとしたのである。