Japanische Klassiker mit Furigana
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こよみ
暦
壺井 栄
Lesen Sie 暦 (こよみ) von 壺井 栄 (つぼいさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 56.332 Zeichen · 112 Bildschirme
朝顔といえば実枝は去年の夏のことが思いだされて、ふっふとひとりでに声がこぼれた。
「大変大変、実枝よ早よ早よ」と突拍子もないクニ子の大声に、まだ寝床の中でうつうつしていた実枝は何事かとはね起きて縁側にとびだすと、クニ子は隣りとの境界の朝顔の垣のそばで片手に巻尺を持ったまま相好をくずしてこちらへ猫まねきをし、
「実枝、まあ早よ来てみい、十三センチ五ミリあるがいや」
朝顔が直径十三センチ五ミリの花を咲かせたというのである。
「何ぞいや姉やんほんまに。くちなわでも出てきたんか思や」
そうはいいながら実枝は下駄をつっかけた。ぼんやりと淀んだような朝の空気の中で、しめりを含んだ垣根いっぱいに繁っている朝顔の葉のみどりの中に、瑠璃色の十三センチ五ミリは襞をゆるく波打たせ、赤や白の花々の群を抜いて大らかに咲いている。二人はそれに顔を近づけて眺めた。家の前の小径を朝畑に出る隣りの小母さんが目籠を背負って通りかかり、
「何ぞいな、早うから」と声をかけた。するとクニ子は「小母さん!」と、その方へまた手招きをしながら、普段と声をかえて、
「まあちょっと来てみてつかあされ、うちの朝顔がこんな大けな花を咲かしてなあ」