Japanische Klassiker mit Furigana
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かけないたんていしょうせつ
書けない探偵小説
夢野 久作
Lesen Sie 書けない探偵小説 (かけないたんていしょうせつ) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.117 Zeichen · 5 Bildschirme
草の中から王冠を拾い上げて撫でまわした。
「アハハハハハ俺が死んだ事を世界中に確認させるトリックには随分苦心したものだ。しかしあのトロツキーまでが俺の死を信じていようとは思わなかった。
トロツキーは俺の筋書通りに動いてくれた。彼奴にだけこの王冠の事を話しておいたのだからな。……俺がアレだけの大革命を企てたのも、結局、この王冠一つが慾しかったからだとは誰も知るまい。況んや俺が革命前から、この巴里で老舗の質屋をやっている、妾を三人も置いている事なぞ誰が知っていよう。アッハッハッハッ。馬鹿な人類ども……」
といったような探偵小説が、日本では書けないだろうか。
或る海岸の崖の上の別荘に百万長者の未亡人と、その娘が住んでいた。二人ともなかなかの美人であったが、娘の方がイツモ何者かに生命を狙われて殺されそうになるのを、そのたんびに或る青年名探偵が現われて救い救いしてくれた。
未亡人と娘は名探偵に満腔の感謝を捧げた。娘と名探偵とはとうとう恋仲にまでなったが、しかし、それでも娘の生命を狙っている悪人の正体ばかりは、どうしても掴めなかった。流石の青年名探偵が、いつも危機一髪で喰い止めるほどの神変とも、不可思議とも説明の出来ない怪手腕を以て、根気強く娘の生命を脅やかし続けるのであった。