Japanische Klassiker mit Furigana
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すだま
木魂
夢野 久作
Lesen Sie 木魂 (すだま) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 23.668 Zeichen · 46 Bildschirme
たものである。ちょうど十一になった太郎の頭を撫でながら、弱々しい透きとおった声で、
「……太郎や。お前はね。これからお父さんの云付けを、よく守らなくてはいけないよ。お前がお父さんの仰言る事を肯かなかったりすると、お母さんがチャンとどこからか見て悲しんでおりますよ。お父さんが、いつもよく仰言る通りに、どんなに学校が遅くなっても鉄道線路なんぞを歩いてはいけませんよ」
なんかと冗談のような口調で云い聞かせながら、微笑しいしい息を引き取ったもので、それはシッカリした立派な臨終であった。
彼はだからその母親が死ぬと間もなく、お通夜の晩に、忘れ形見の太郎を引き寄せて、涙ながらに固い約束をしたものであった。
「……これから決して鉄道線路を歩かない事にしような。お前はよく友達に誘われると、イヤとも云いかねて、一所に線路伝いをしているようだが、あんな事は絶対に止める事に仕様じゃないか。いいかい。お父さんも決して鉄道線路に足を踏み入れないからナ……」
といったようなことをクドクドと云い聞かせたのであった。その時には太郎もシクシク泣いていたが、元来柔順な児だったので、何のコダワリもなく彼の言葉を受け入れて、心からうなずいていたようであった。