Japanische Klassiker mit Furigana
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ほんしゅうおうだん かんしゃくとほりょこう
本州横断 癇癪徒歩旅行
押川 春浪
Lesen Sie 本州横断 癇癪徒歩旅行 (ほんしゅうおうだん かんしゃくとほりょこう) von 押川 春浪 (おしかわしゅんろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.749 Zeichen · 45 Bildschirme
跡に残った吾輩等は、焚火に燃ゆる枯枝を松明と振り照らし、とある大木の下の草の上に天幕を張り出したが、松明は雨で消える、鉄釘は草の中へ落ちて見えなくなる、その困却は一通りでなかったが、彼の殿様然たる剛力どのには、水を汲みに行こうとはいわねば、天幕を張る手伝いをするでもなく、ただ焚火に噛り着いてはや居眠りを始めてござる。
三、四十分も掛かって漸く天幕を張り終り、筵を敷いてそこへ覚束なくも焚火を始めた頃、水汲み隊は息を切らしヘトヘトになって帰って来た。
「万歳万歳」の声は四方に起り、一同は蟻の甘味に付くように水汲み隊の周囲に集り、咽を鳴らして水筒の口から水を呷る。その旨い事! 甘露ともなんとも譬えようがない。
スルト今まで居眠りをしていた剛力先生、二人共ノソノソやって来て、吾輩等の背後から猿臂を伸ばして水筒を掴もうとする。
「コラッ、貴様ッ、ろくろく働きもせぬくせに、生血のような水を唯飲みしようとは、怪しからん奴だ」と呶鳴り付けたが、考えてみればあれも人の子、咽の渇くのは同じだろうと惻隠の心も起り、
「皆飲むなよ」と、長い竹筒の水を渡してやれば、先生竹筒に口を当てるが早いか、逆様にして皆ゴボゴボと飲んでしまった。