Japanische Klassiker mit Furigana
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むらいちょうあんないれのからかさ
村井長庵記名の傘
国枝 史郎
Lesen Sie 村井長庵記名の傘 (むらいちょうあんないれのからかさ) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.794 Zeichen · 16 Bildschirme
「それは真面目のご貴殿のこと、他人に怨みを買うような、よくないご所業をなさるはずはない。とは云え浮世は金が仇、金のためには義理ある弟さえ、殺そうとする悪党もある。私から見れば間瀬とか云う男、食わせ者の銀流し、太い野郎に思われますなあ」
自分がこれから遂げようとする、極悪非道の所業に引っ掛け、長庵はこんなことを云ったものである。
追って行く人追われる人
それに、長庵の眼からみれば、このセチ辛い世の中に、他人の罪を身に引き受け、浪人したという事が、変に不自然にも思われるのであった。
「どうでも俺とは歯が合わねえ」
こう長庵は思うのであった。
「義侠心と云えばそうも云えるが、つまりそいつは宋讓の仁で、一つ間違うと物笑いの種だ。いやもう物笑いになっている。襤褸を下げて病みほほけ、長庵ずれの施療患者に、成り下るとは恥さらし。それに反して利口なは、間瀬金三郎とか云う男、泣き付いて拝み倒し、自分の科を他人になすり、うまうま罪科を脱れたとは、正に当世でこちらの畑。出世をしているに違えねえ」
「もしえ」と長庵はニヤニヤしながら、
「間瀬とか云うその仁、その後お豆でございますかね」