Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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かきのたね

柿の種

寺田 寅彦

Lesen Sie 柿の種 (かきのたね) von 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 70.202 Zeichen · 139 Bildschirme

Aozora Bunko

(大正十年七月、渋柿)

*

寝入りぎわの夢現の境に、眼の前に長い梯子のようなものが現われる。

梯子の下に自分がいて、これから登ろうとして見上げているのか、それとも、梯子の上にいて、これから降りようとしているのか、どう考えてもわからない。(大正十年七月、渋柿)

*

嵐の夜が明けかかった。

雨戸を細目にあけて外をのぞいて見ると、塀は倒れ、軒ばの瓦ははがれ、あらゆる木も草もことごとく自然の姿を乱されていた。

大きな銀杏のこずえが、巨人の手を振るようになびき、吹きちぎられた葉が礫のようにけし飛んでいた。

見ているうちに、奇妙な笑いが腹の底から込み上げて来た。

そうして声をあげてげらげら笑った。

その瞬間に私は、天と地とが大声をあげて、私といっしょに笑ったような気がした。(大正十年八月、渋柿)

*

猫が居眠りをするということを、つい近ごろ発見した。

その様子が人間の居眠りのさまに実によく似ている。

人間はいくら年を取っても、やはり時々は何かしら発見をする機会はあるものと見える。

これだけは心強いことである。(大正十年八月、渋柿)