Japanische Klassiker mit Furigana
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かきのたね
柿の種
寺田 寅彦
Lesen Sie 柿の種 (かきのたね) von 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 70.202 Zeichen · 139 Bildschirme
刃傷事件に座して、親族立ち会いの上で詰め腹を切らされた十九歳の少年の祖母になる人が、愁傷の余りに失心しようとした。
居合わせた人が、あわててその場にあった鉄瓶の湯をその老媼の口に注ぎ込んだ。
老媼は、その鉄瓶の底をなで回した掌で、自分の顔をやたらとなで回したために、顔じゅう一面にまっ黒い斑点ができた。
居合わせた人々は、そういう極端な悲惨な事情のもとにも、やはりそれを見て笑ったそうである。(大正十一年四月、渋柿)
*
子猫が勢いに乗じて高い樹のそらに上ったが、おりることができなくなって困っている。
親猫が樹の根元へすわってこずえを見上げては鳴いている。
人がそばへ行くと、親猫は人の顔を見ては訴えるように鳴く。
あたかも助けを求めるもののようである。
こういう状態が二十分もつづいたかと思う。
その間に親猫は一、二度途中まで登って行ったが、どうすることもできなくて、おめおめとまたおりて来るのであった。
子猫はとうとう降り始めたが、脚をすべらせて、山吹の茂みの中へおち込んだ。
それを抱き上げて連れて来ると、親猫はいそいそとあとからついて来る。