Japanische Klassiker mit Furigana
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かき
柿
山本 周五郎
Lesen Sie 柿 (かき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.565 Zeichen · 25 Bildschirme
「どうしたんだ、何事が起ったんだ」
「福田から早馬の急使だ、父が危篤だと云う」
「え」
「なに与吉右衛門殿が……」
「もう間に合わぬかも知れぬという使者の口上だ、小房どの……折角のお手料理を頂かずに参るのは残念ですが、お許し下さい」
「いいえそれより一時も早く」
「そうだ、飯などはいつでも食える、急いで行くがいい、……然し夜道だから充分気をつけて呉れ」
「有難う、ではいずれ又」
辰之助は蒼惶と去った。
玄関まで見送って、元の部屋へ帰った兄妹は、みごとに配られた食膳を前にして云いようのない寂しさに襲われた。
「とんだ事が出来た」
兵馬は暗然と手を膝へ置いた。
「間に合えばよいが」
「本当に。……福田まで馬で、どのくらいかかりますの」
「乗継ぎにやっても明日の朝になるだろう」
小房は胸のなかでそっと、
――どうぞ途中御無事であるように。
と祈った。
それから三日めに辰之助からの便りがあった。与吉右衛門は死んだ、遂に臨終には間に合わなかったが、安らかな往生であったそうだということ、……また後始末と、父の後任が着くまで当地に留まるが、月の終りには帰れる筈だと書いてあった。
「さぞお力落しでございましょうねえ」