Japanische Klassiker mit Furigana
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かき
柿
山本 周五郎
Lesen Sie 柿 (かき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.565 Zeichen · 25 Bildschirme
兵馬はすっかり無口になった、酒も飲まなくなった。小房の方が却って見兼ねたように、
「今夜はお酒を召上りません? お美味そうな鶫が買ってあるのですけど、……なんだか沈んでいらしって淋しいわ」
なるべく明るい調子で云っても、
「酒は止そう」
と答えは毎も同じだった。
こんな状態を続けていてはいけない、事情をよく話して妹にはっきり諦めをつけさせなければと、兵馬はなんども思うのだが、……ふとすると庭に佇んで、まだ実の落残っている柿の木の梢を、しょんぼり見上げていたりする小房の姿を見ると、とてもそんな残酷な話を切出す勇気は持てなかった。
霜月に入った或る日。
兵馬は城中の遠侍で、近習番の者が四五人して辰之助の噂をしているのを聞いた。
「そいつは思い切った左遷だな」
「大鳥嶽の鉱山役所とは牧野も気が付くまい、あれだけ藩の人望を背負っていたのが詰らぬことになったものさ」
「結局……慎むべきは女だよ」
「正式に願いも出さなかった女に子を生ませ、今になって妻子の届出をするなんて下手なことをしたものだ、聞けば召使いだということではないか、……くだらぬ」
「旨く始末をすればなんでも無かったのに」