Japanische Klassiker mit Furigana
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かき
柿
山本 周五郎
Lesen Sie 柿 (かき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.565 Zeichen · 25 Bildschirme
……樹上の人はあっと叫びながら、
「待った、拙者です、小房どの危い」
「……あ!」
と云って跳退く小房の前へ、するすると降りて来たのは正に辰之助であった。
「まあどう致しましょう、わたくし少しも存じませんで、……どうぞお赦し下さいませ」
「いや拙者の方こそ驚かせて失礼しました」
「でも今時分、どう遊ばしましたの」
「……是なんです」
辰之助は苦笑しながら、片手に持っていた熟柿を差出した。ふところにも有るらしい。
「さっきは酔わないと申上げたが、実はどうもひどく悪酔いをしていた様子で、……醒ますには熟柿がいいと云われていたのを思い出したものですから、そっと脱出して来たという訳です」
「まあそれならひと言そうおっしゃって下されば」
「いや、自分で採りたかったのですよ、……ずいぶん長いことこの木にも登りませんでしたから」
「そんなにお酔いになっている時に危いではございませんか、若し墜ちでもなすったらどう遊ばします」
「はははは」
辰之助は低く笑った。
「いつかもそう云って叱られましたね、あれはたしかまだ元服まえのことだ、……まだ実の青い時分に登って採ったら、貴女はたいそう怒って」