Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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くわのきものがたり

桑の木物語

山本 周五郎

Lesen Sie 桑の木物語 (くわのきものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 39.815 Zeichen · 79 Bildschirme

Aozora Bunko

――土井へ帰るとすぐの頃で、まだ満足に坐ることもできなかった。それが机に向って、書物をひらいて、相手の読むとおりに、一字ずつ口まねをして読むのである。……字はむやみにごちゃごちゃしているし、読むことがまるっきりちんぷんかんである。足は痺れるし、眠くなるし、面白いのは欠伸が幾らでも出ることだった。

「行儀を正しくしなければいけません」

茅野先生は眼をぎょろっと光らせた。

「膝をしゃんとしなさい、欠伸はいけません、せっかく学問をしても、欠伸をするとそこからみんな出ていってしまいます」

悠二郎はふんと思った。出たがっているなら出してやればいい、むりに詰め込んで置くことはないじゃないかと思った。

「おれはさっきから欠伸を二十くらいしちゃったけど、じゃもうみんな出てっちゃったかね」

茅野先生は顔を代赭色にし、もの凄い眼つきでこっちを睨み、そうしてえへんと咳をして、さっさと素続をつづけた。――三日、四日、五日、ますますいやになり退屈になるばかりで、茅野先生の熱心なのがふしぎだった。

「こんなの読んで先生は面白いのかい」

どうも不審なのできいてみたのである。少しもわる気はなかったのだが、先生はひどく怒ってぱたりと書物をしめ、これは面白ずくでやっているのではない、とおそろしくいきまいたようなことを云った。