Japanische Klassiker mit Furigana
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くわのきものがたり
桑の木物語
山本 周五郎
Lesen Sie 桑の木物語 (くわのきものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 39.815 Zeichen · 79 Bildschirme
とみなければならぬ」
そこで問題になるのは継嗣のことである。六万三千石の所領と、家名血統と、ひいては全家臣たちのためには、どうしても世子がなくてはならない。少しは愚かであろうと、弱かろうと、世継ぎだけは必要なのである。
「そんなばかなことがあるもんですか、幾らお世継ぎが必要だからって、そんな、――それじゃあまるで若さまのお命を、短いうえに短くするようなものじゃありませんか」
「人間は生きた年数だけで長命か短命かがきまるものではない」
昂奮している悠二郎を見て、虚木老はなだめるかのようにこう云った。
「土蔵の中で百年生きるのと、市中で三十年生きるのと、その経験したことを比較してみるがいい、どちらが長く生きたことになるか、――悠二郎、わかるだろう」
「いいえ、わかりません、それが若さまとなにか関係があるんですか」
虚木老は苦笑して、勘のにぶいやつだと呟き、わからなければよく考えろと云った。
正篤は表御殿へ移り、お相手役は解かれて、悠二郎と新泉とくいしんぼうの原と、三人があらたに側扈従となった。――悠二郎はその当座しきりに、正篤に向ってそれとなく早婚のよくないことを説いた。