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Japanische Klassiker mit Furigana

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くわのきものがたり

桑の木物語

山本 周五郎

Lesen Sie 桑の木物語 (くわのきものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 39.815 Zeichen · 79 Bildschirme

Aozora Bunko

のだ」

悠二郎はそっと頷いた。ちょっと意外ではあったが、云われてみればそのとおりである。あんなにしげしげぬけ出したし、原精一郎という買収した者もある、知れなかったと思うほうが、寧ろ不自然だと云わなければなるまい。

「二人はあまりに近し過ぎた、幼年から殆んど側を離れず、すべてに深入りをし過ぎていた、おれが藩政をみるばあい、相当てあらな事を、やらなければならぬ、一部に不平や非難のおこることは、必至だ、おれはそのときのことを思った……家臣の非難はそのまま藩主には向かない、必ず側近の者にゆく、おまえがもしおれの帷幄にいれば、おれにもっとも近しい者として、おれの寵臣として、家中の怨嗟はおまえに集まるだろう、――おれはそうしたくなかった、おまえをそういう立場には置きたくなかったのだ」

悠二郎は空になった杯を手に深くうなだれていた。胸がいっぱいになり、眼のうちに熱いものが溢れてきた。

「おまえを除外することは辛かった、おまえが肚を立て、怨むだろうこともわかっていた、しかしそれでもいいと思ったのだ、――おまえには怨まれても、そんな立場に立たせるよりいいと思ったのだ、……だが悠二郎、あれから十年のあいだ、おれはおまえを思わぬ日はなかった、いつもおまえが側にいるつもりでいたぞ、――見せるものがある、ついてまいれ」