Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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さくらじま

桜島・日の果て・幻化

梅崎 春生

Lesen Sie 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 169.810 Zeichen · 345 Bildschirme

Aozora Bunko

怒ったような口調で、宇治はたずねた。

「インタアルへ行く途は――此の途を通るのか」

「そうです。あの大きな木」人さし指を移動させながら、「あの木の所から右に折れるのです」

「――此の崖縁を歩かずに、密林の中を突き抜ける途はないのか」

「ありません。私は知りません」

宇治は少し顔を険しくして高城を眺めた。そして低い声で言った。

「お前が先に歩け」

高城は何かぎょっとした風で身体を硬くした。その気配は宇治にもはっきり判った。二人は密林で出会った二匹の獣のように暫く見つめ合った。高城は突然泣き出しそうな表情になって、大きな身振りをしながら甲高い声で言った。

「私は後から参ります」

また沈黙が来た。

宇治はふと視線を外らすと、行手の大きな木を眺めた。困惑したような表情が宇治の顔にひろがった。日の光が当る大木の頂きをぼんやり眺めた。樹肌の剥けた、頂上付近に僅かの葉をつけた巨樹が、何か意味があるような形に眺められた。

(あんな木がもう直ぐ自然倒壊するんだな。しかしあの木の下を曲れば安心だ)

しかし宇治は歩き出そうとはせず、また高城の方に振りむいて言った。沈欝な調子であった。