Japanische Klassiker mit Furigana
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さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
Lesen Sie 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 169.810 Zeichen · 345 Bildschirme
乗客は五人しかいない。
羽田を発つ時には、四十人近く乗っていた。高松で半分ぐらいが降り、すこし乗って来た。大分でごそりと降り、五人だけになってしまった。羽田から大分までは、いい天気であった。海の皺や漁舟、白い街道や動いている自動車、そんなものがはっきり見えた。大分空港に着いた頃から、薄い雲が空に張り始めた。離陸するとすぐ雲に入った。
航空機が滑走を開始した時の五人の乗客の配置。五郎と並んで三十四、五の男。斜めうしろに若い男と女。そのうしろの席に男が一人。それだけであった。四十ぐらい座席があるので、ばらばらに乗って手足を伸ばせばいい。そう思うが、実際には固まってしまう。立って席を変えたいけれども、五郎の席は外側で、通路に出るには隣客の膝をまたがねばならない。それが面倒くさかった。
隣の客はいつ乗り込んで来たのか知らない。五郎は飛行機旅行は初めてなので、ずっと景色ばかりを眺めていた。
「乗ると不安を感じるかな?」
羽田で待っている時、ちらとそう考えたが、乗ってみるとそうでなかった。不安がなかったが、別に驚きもなかった。下方の風景を、見るだけの眼で、ぼんやりと見おろしていた。