Japanische Klassiker mit Furigana
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さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
Lesen Sie 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 169.810 Zeichen · 345 Bildschirme
付添婦はふつうの声で言った。
「もっとちらちらして来ますよ」
五郎は毛布を額まで引き上げて、眼をつむっていた。欲情と嫉妬が、しきりに胸に突き上げて来た。彼は毛布の耳をつかみながら、低くうめいた。瞬間、彼は涜れた。――その後もっとひどいことがあった。ほとんど昏迷の域にあったので、詳細の記憶はない。
「ぼくの写真をとって呉れませんか」
畠を背景にして立って、丹尾はカメラを五郎に手渡した。
「ただそのポッチを押せばいいんです」
五郎はカメラを眼に持って行き、ファインダーの真中に丹尾を置いた。そして姿を片隅にずらした。ポッチを押す。丹尾の顔の半分と、広漠たる畠が写ったと思う。それから位置をかえて三枚とる。丹尾はあまり面白くなさそうにカメラを取り戻した。
「あんたも写して上げよう」
「御免だね」
五郎ははっきりと断った。
「こんなとこで写してもらいたくない。君はこんなとこを写して、どうするんだ?」
「兄貴にやるんですよ」
「兄貴? 生きているのかい?」
「ええ」
丹尾が先に車に這い込んだ。
「何だか運よく他の基地に廻されてね、その中戦争が終ってしまった。今は武生でペンキ屋をやっています」