Japanische Klassiker mit Furigana
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さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
Lesen Sie 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 169.810 Zeichen · 345 Bildschirme
車が動き出した。特攻隊からペンキ屋か。ふん、という気持がある。でも誰にもそれをとがめ立てする権利はない。そうと知ってはいるが、五郎はかすかに舌打ちをした。
「幸福かね?」
ぎょっとしたように、丹尾は五郎の方を見た。
「幸福に見えますか?」
丹尾は表情を歪めていた。
「一箇月前にね、妻子を交通事故でうしなってしまった。都電の安全地帯にいたのに、トラックの端っこが引っかけたんだ」
丹尾は笑おうとしたが、声が震えて笑いにはならなかった。
「それで元のもくあみさ。以来酒びたりだよ。それで会社に頼んで、本社勤めをやめ、南九州のセールスマンに廻してもらった。いや。廻されたんだ。なぜぼくが羽田で、あんたに興味を持ったか、知らせてやろうか?」
「誰のことを言ってんだね?」
「あんたのことさ。あんたは自殺をする気じゃなかったのかい?」
「おれが?」
五郎は座席の隅に身体を押しつけた。丹尾の眼は凶暴に血走っていた。
「そんな風に見えたのか」
しばらく五郎は丹尾の眼を見返していた。
「おれは自殺しようとは全然思っていない。おれとは関係がない何かを確めようと思ってはいるけどね。しかし、奥さんを死なしたのは、君のことか?」