Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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さくらじま

桜島・日の果て・幻化

梅崎 春生

Lesen Sie 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 169.810 Zeichen · 345 Bildschirme

Aozora Bunko

初めて口をきいた。立ち上ると自分の服を脱いだ場所にかけて行き、小さな平たい板と小刀と、ビニールに包んだ味噌らしいものを持って戻って来た。何をするのかと五郎は少年の動作を見守っている。少年はバケツからつかみ出し、頭をはね鱗を落し、内臓を抜いた。あざやかな手付きで三枚におろす。骨は捨てる。四匹を調理し、ビニールの結び目を解く。五郎は驚きの眼で、それを眺めていた。

「それでもう食えるのかい?」

握り飯をひとつ少年に渡しながら、五郎は言った。少年はうなずいて、肉片に味噌をなすって、五郎に差出す。酢味噌がよくきいて、案外うまかった。

「うまいな」

五郎もおかずを差出し、縄タクアンを板の上に乗せた。

「ついでにこれも切って呉れ」

ズクラの刺身と豚煮付けとタクアンで、五郎と少年は並んで食事をした。どれもうまい。野天の豪華な真昼の宴だ。縄タクアンの味は、二十年前の記憶にある。これは壺漬けと言うのだ。薩摩半島でつくられ、軍艦や潜水艦に搭載して、赤道を越えても腐らないので、海軍ではこれを全部買い占めてしまった。そんな話を当時五郎は聞いた。微妙な匂いと味を持つタクアンで、鹿児島の基地にいる時は、三度三度の食事にこれが出た。